2012年5月18日金曜日

講孟箚記-離婁上篇-第四章、第五章〜反求諸己

『講孟箚記』巻の三、第十九場

第四章

反りて諸を己に求む。(反求諸己)

第五章

家の本は身に在り。(家之本在身)


「反求」の二字、聖経賢伝、百千万言の帰着する所なり。
「在身」の二字も、亦同じ工夫なり。
天下の事、大事小事、此の道を離れて成ることなし。
大、四海を包み、剛、金石を貫く。豈復た他道あらんや。
下二章の大議論と云へども、此の二章に外ならず。



【現代語訳】
「反りて求む」、反省して自己を責めよというこの語こそ、聖賢の書物に記されている無数のことばの結論である。「身に在り」、一切の問題の根本はわが身にある、自己の身こそ責任の所在である、というこの語もまた、同じ努力の道を説いたものである。
天下の問題は、大小の別なく、この二語に示されている道を離れて成就するものはない。
されば、その大きさは四海を包み、その剛(こわ)さは金石をも穿つというような偉大な事業も、この道の外に道はないのである。
以下の二章の大議論にしても、この第四・第五の二章の精神に外ならないのである。